リンカーン日誌

或る量的遺伝学者のテニュア取得までへの道

最良線形不偏予測量 (BLUP) と混合モデル方程式 (MME) に関する歴史的資料

最良線形不偏予測量 (BLUP) は混合モデル方程式 (MME) の形式で動物遺伝育種学者であるC. R. Hendersonによって開発されたことは広く知られている事実だと思います。現在では育種価の予測という従来の範囲を超えてゲノムワイド相関解析や集団の構造化、さらには生態学・教育学・心理学といった分野まで幅広く用いられています。混合モデル方程式はSASのPROC MIXEDにて実装されていますし、またはRのlme4パッケージによってもBLUPを比較的容易に得ることができます。

混合モデル方程式に関する最初の記述はHenderson (1949,1950)です。その中で発表された混合モデル方程式から得られるbetaが最良線形不偏推定量 (BLUE)であることを証明する論文がHenderson et al. (1959)で、uがBLUPであることを証明する文献がHenderson (1963)になります。このうちHenderson (1949,1950)は要旨であり、Henderson (1963)は全米研究評議会にて発表されているため、今までコピーの入手は難しいことでした。

しかし先日幸運なことにHendersonの教え子であり、ネブラスカ大学リンカーン校で同僚でもあるVan Vleck名誉教授から、これらのPDFのコピーを入手しました。BLUPとMMEに関する歴史的資料に興味がある方は楽しめると思います。こちらのページにてまとめています。