リンカーン日誌

或る量的遺伝学者のテニュア取得までへの道

外部資金の獲得

2016年度も夏がそろそろ終わりを告げ、秋学期が始まります。春から夏にかけては大学院の講義ESALQ出張講義を除いて、グラントのプロポーザル執筆に追われていました。米国では大学院生やポスドクをPIが雇う形式になるので、彼・彼女らの授業料・給料・保険料等を自分が調達したグラントから支払います。逆に言うと、グラントを取得しないと大学院生・ポスドクは一人も雇えないことになります。そのためグラントの有無はすべてのPIにとって死活問題になっています。もう少し詳しいことはこちらのページも参考になります。現在のところ、PIまたはCo-PIとして以下のプログラムに申請しました。

  • NSF: Division of Environmental Biology (DEB) - Evolutionary Processes Cluster (EP)
  • NSF: Division of Integrative Organismal Systems (IOS) - EDGE track
  • USDA-NIFA: AFRI Food Security Challenge Area - Breeding and Phenomics of Food Crops and Animals

グラントプロポーザルの執筆ですが同僚と話した感じでは、PIになる前の博士課程やポスドク時代にボスと一緒にプロポーザルを書いて訓練を受けた人も多くいるようです。自分の場合ですが博士取得直後に、「私がお前に教えていないことが1つある。それはグラントのプロポーザルをどう書いて外部資金と調達するかだ。これは同僚のSenior PIsから教えてもらいなさい。」とボスに言われたように経験がまったくないとこから着手したので大変でしたが、多くの人に助けられてここまで来れました。

採択率ですが高いNSFで20%前後、低いUSDA-NIFAで約5%だそうです。やはり論文とグラントプロポーザルの大きな違いは、前者は多くのジャーナルが存在する昨今最終的にはどこかのジャーナルに受理されて人の目に触れ業績として数えられますが、後者は採択されない限り人の目に触れず業績にはならないことではないでしょうか。ただプロポーザルが採択されなくても研究遂行・論文執筆のよい準備となるため、あまり悲観的にはならないように心がけています。共同研究者とは今年の秋から来年の頭にかけて、NSF-PGRPとNSF-SSE/NSF-SSIにも挑戦してみようと話しています。