リンカーン日誌

或る量的遺伝学者のテニュア取得までへの道

NSFグラント採択

遅ればせながら今年の夏のニュースです。全米科学財団(NSF, National Science Foundation)からイネとコムギの非生物的ストレス耐性(abiotic stress tolerance)を研究するためのグラントを頂きました。総額6億円近くにのぼる且つ4年に渡る壮大なプロジェクトになります。ネブラスカ大学リンカーン校、アーカンソー州立大学、カンザス州立大学の共同研究プロジェクトであり、私は量的遺伝解析を担当するCo-PIとして参加します。

具体的な非生物的ストレス耐性の形質は夜間の暑熱ストレスです。日中における暑熱ストレスは多くの作物で盛んに研究されていますが、イネでは夜間に気温が下がらずに高いまま移行した場合の生理学的・遺伝学的様式はまだまだわからないことが多いです。またコムギにいたっては同様な研究はほとんど存在しないそうです。僕たちのチームの主目的はネブラスカ大学リンカーン校が誇るハイスループット・フェノタイピング施設を駆使して、ハイスループット・フェノタイピングから得られる時系列画像をゲノム、遺伝子発現、代謝産物情報に結びつけて夜間における暑熱ストレスの生理学的・遺伝学的な解明に務めることです。さらにアーカンソー州カンザス州では気温を調節するテントを設営して野外環境でも形質評価を行います。今年の8月からプロジェクトは始まっており、最近研究プロジェクトのウェブサイトも立ち上げました。しっかりと貢献して成果を出していきたいと思います。